建物設備管理事業 2025.02.13
働きやすい職場環境の整備は、従業員のモチベーションアップや生産性の向上に直結します。
製造業では、生産現場の効率性や安全性が重視されがちですが、意外にも「トイレ」の快適さが従業員の働きやすさに大きな影響を与えていることをご存知でしょうか?
このコラムでは、工場の施設管理者が知っておくべき快適なトイレ環境の重要性や、整備のポイントについて解説します。
従業員が快適に働ける職場環境とは、単に作業場の設備が整っているだけではありません。
心理的な安心感や疲れた身体を癒せる空間も欠かせない要素です。
特に製造業の現場では、長時間の立ち仕事や身体を使う作業が多いなか、休憩スペースやトイレといった「リフレッシュゾーン」が従業員の心身の健康を支える重要な役割を果たしています。
なかでもトイレは、誰もが毎日利用する施設であり、その清潔さや快適さが職場全体の印象に直結します。
快適なトイレ環境が整っていれば、従業員は「自分が大切にされている」と感じ、仕事へのモチベーションが向上します。
一見、仕事と無関係に思えるトイレですが、実は多くの研究で「従業員満足度を左右する重要な要素」とされています。
清潔で快適なトイレがある職場では、次のような効果が期待できます。
ストレス軽減
清潔感のないトイレはストレスの元となるが、快適な空間は逆に心のリフレッシュを促す。
生産性向上
トイレを利用することで仕事の合間の気持ちの切り替えができ、仕事への意欲を高める。
チームの士気向上
整った職場環境は従業員間のコミュニケーションを促進し、社員のやる気アップ!
まずは、実際に働く従業員に「職場のトイレについてどう思っているか」アンケートを取ってみてください。
製造業では作業環境だけでなく、トイレ空間にも特有の課題が存在します。
以下に、よく見られる悩みをいくつか挙げてみます。
こういった現状の問題点の洗い出しはもちろんのこと、従業員の声は理想的なトイレ空間を実現するヒントになります。
社員の要望を設備や機能に取り入れることもでき、社員満足度も上がります。
トイレの改修や新設を検討する際には、以下の5つのポイントを押さえることが重要です。
職場の規模や従業員構成(男女比、利用頻度)に応じたトイレの数は、適切な設計の基本です。
法律により最低限必要な数が規定されていますが、利便性を高めるために追加の配慮が求められる場合もあります。
引用:事務所衛生基準規則 第十七条
1.男性用と女性用に区別すること。
2.男性用大便所の便房の数は、同時に就業する男性労働者60人以内ごとに1個以上とすること。
3.男性用小便所の箇所数は、同時に就業する男性労働者30人以内ごとに1個以上とすること。
4.女性用便所の便房の数は、同時に就業する女性労働者20人以内ごとに1個以上とすること。
2021年12月に厚生労働省にて労働衛生基準が改正され、新たに「独立個室型の便所」が法令で位置付けられました。
「独立個室型の便所」とは、男女を区別しない代わりに、施錠できてプライバシーを確保した男女兼用の個室トイレのことです。
引用:事務所則第17条の2関係、安衛則第628条の2関係
1.男性用と女性用に区別せず、単独でプライバシーが確保されている
2.便所の全方向が壁などで囲まれ、扉を内側から施錠できる構造である
3.1個の便房により構成されている
今回の改正によって、従業員数が常時10人以内で男女別のトイレを設置することが困難な作業場の場合、「独立個室型の便所」を設置することで事務所則の基準を満たせるようになりました。
ただし、厚生労働省は「可能な限りトイレは男女で区別して設置することが望ましい」という見解を出しているので、やむを得ない事情がなければ原則を守るようにしましょう。
トイレの個室は、適度な広さと快適性を兼ね備えた空間であるべきです。
最低基準を満たすだけでなく、実際の利用時に圧迫感がないよう配慮することが重要です。
▼推奨寸法
これらの寸法を参考にしながら、トイレ全体のバランスを見直すことで、利便性と快適性を両立した空間を実現できます。
近年、洋式トイレが主流になりつつあり、従来の和式トイレから洋式トイレへの改修が進んでいます。
洋式トイレには、タンク式とタンクレス(タンクなし)の2種類があります。
それぞれの特徴をご紹介します。
▼タンク式トイレが災害時に有効!
災害時に断水すると、多くの水道設備が使えなくなります。しかし、タンク式トイレは一定の水をタンク内に蓄えているため、トイレ問題を軽減する心強い選択肢となります。
設置場所の条件やコストを考慮しながら、最適な選択を行いましょう。
トイレ空間に含まれる洗面・手洗いスペースも重要な要素です。単に手を洗う場所としてだけでなく、身だしなみを整える場としての機能も求められます。
▼快適な洗面スペースを実現する工夫
姿見や収納の設置
女性従業員のための化粧直しスペースや着替え台を整備。
非接触センサー付き水栓
衛生面の向上と感染症対策に有効。
十分な照明とスペースの確保
狭すぎない設計が快適さを向上させます。
詳しくはコラム「女性目線でのトイレリフォームのススメ」をご覧ください。
実際に、製造業や当社で新しくトイレを設置した事例をご紹介します。
工場の2階を事務所にする計画があり、女子トイレを屋外に増設して職場環境を整えたい。
▼POINT
広々とした手洗いブースを設け、女性にも優しい清潔で快適なパウダールームとして利用していただいています。
工場内には他にもトイレがあるのですが、新設したトイレの方が人気で利用者数が増えているとのことです。
さらに、トイレ内にエアコンを設置し、酷暑対策も実施しました。
従業員が増えて女子トイレの数が足りなくなったため、既存のトイレを全面改装して4基から7基に増やしたい。また、男女共用トイレをバリアフリートイレに更新したい。
▼POINT
現場が防火区域のため、消防法に基づいて天井・壁・床・扉には不燃材を使用しました。
小便器まわりには汚垂石(おだれいし)を敷き、跳ね返りで床が汚れても掃除がしやすい設計に改善。
他にも、尿石付着を抑制する設備保護洗浄や、掃除がしやすいクリーントラップなど、メンテナンス性に配慮しています。
現場で働く女性社員のニーズに合わせたトイレを屋外に増設したい。防寒着を着たままでも利用しやすい広々とした室内や、荷物を持ったままでも快適に使える空間にしたい。
▼POINT
室内はアクセントに木材を使用し、温かみのあるデザインに仕上げました。また、調湿効果のある壁材を採用し、快適さを保っています。
防犯面では、特定の人だけが出入りできる「シークレットキー」を採用し、安全性を確保しました。
緊急時にも使用可能なタンク式トイレと、電池で稼働するトイレの両方を選定し、災害時の利用も想定しています。
トイレ改修工事は、単なる施設のアップデートではなく、従業員満足度を向上させ、企業価値を高める重要な投資です。
今後の人材確保や職場環境の向上を目指すのであれば、まずはトイレ環境の見直しから始めてみてはいかがでしょうか?
施設管理者として、従業員にとって快適な職場環境づくりを進め、より良い働きやすさを実現していきましょう。
お客様の事業形態によって提案できるプランはさまざま。
現状をしっかりと見極め、最適なプランをご提案できるようにしっかりとヒアリングを実施したうえで、計画から運用まで一生涯のサポートをさせていただきます。
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