建物設備管理事業 2022.02.22
レストラン、ホテル、飲食店、病院、介護施設、学校などの業務用厨房がある施設で設置が義務付けられているグリーストラップ(油脂分離阻集器)
事業者や従業員はご存知かと思いますが「そもそもグリーストラップって何?」と知らない方のためにご説明します。
グリーストラップとは、グリス(油脂)トラップ(せき止め)という意味ですが、その名の通り厨房排水に交じった油脂やゴミ(残飯やくずなど)を一時的に貯めておいたり、除去する設備のことです。
排水に混じった油脂やゴミを下水道や浄化槽等に流してしまうと、自然環境に影響を及ぼすこととなり環境汚染につながります。
油脂やゴミを取り除いた排水を下水道や浄化槽等に流すために、グリーストラップを設置する必要があります。
※事業活動で出た産業廃棄物(油脂、汚泥等)は、一般ゴミと一緒に捨てることはできません。
万が一捨てた場合は不法投棄となり、罰金や懲役が科せられる場合があります。
不十分なお手入れ・清掃だと企業イメージの低下や自然環境に悪影響が出てしまうので、設置者や施設責任者はグリーストラップの必要性と法律を再確認しておき、定期清掃や保守管理について考えていきましょう!
グリーストラップは3つの槽に分かれており、汚泥(沈殿物、油脂など)を分離する槽に分かれています。
段階的に分離させ、最終的に油脂類やゴミを取り除いた排水を下水に流します。
※分離した油脂類やゴミがグリーストラップ内に溜まりすぎると分離機能が低下するので注意しましょう!
清掃が不十分だったり、定期的なお手入れを怠ると様々な問題が発生します。
よくあるトラブル順にご紹介していきます。
グリーストラップ内に油脂類が溜まりすぎると、正常な処理を行うことができなくなります。
排水管に油脂が流出し、その油脂が管内で固まることで「詰まり」が発生します。
詰まってしまうと油脂類が逆流して厨房内も大変なことに…
以上のことから、「詰まり」は経営者・事業者として一番避けたいトラブルNo.1です。
グリーストラップ内に溜まった汚泥(油脂、残飯、ゴミなど)を放置すると、腐敗して雑菌が繁殖し悪臭の原因になります。
厨房から臭いが漏れ出し、働く従業員の不満やお客様への店舗・施設の評価にも悪影響を及ぼしかねません。
衛生的にも大変良くないので、溜まった汚泥はこまめに取り除くことが最善です。
清掃不足のグリーストラップに溜まった残飯を狙って、ネズミやゴキブリ、蝿などの害虫が発生します。
害虫が発生すれば、飲食店や施設に対するイメージが悪くなり、お客様からの信用もがた落ちです。
定期的な清掃をし、グリーストラップを清潔に保つことが害虫を発生させないポイントです。
以上のトラブルが発生した場合の様々なリスクをご理解いただけましたか?
いくらお店のサービスや接客が良くてもこういった衛生面のずさんな状況が発覚した場合、一瞬でお客様の信頼を失い、今後の運営に影響を及ぼす危険性があります。
定期的な清掃と設備の保守管理の必要性を再度認識していただき、実施していただくことでリスク回避をすることできます。
そもそもグリーストラップは、各市町村の地域の条例によって異なるため、明確な設置義務は存在しません。
だからって設置しなくてよい!というわけではありませんので注意!!
飲食店や厨房がある施設は、「排水基準」を満たす義務と法律があります。
この排水基準に関わる法律は「建築基準法」「下水道法」「水質汚濁防止法」と3つあり、排水基準を満たすための法律として定められています。
環境汚染を防ぐために、国が定めた法律なのでしっかりと守っていきましょう!
もちろん違反した場合、罰則・罰金や営業停止になることもあるので、適正な排水処理を行うことが必要となります。
また、グリーストラップを設置していないと営業許可が出ない可能性もあります。
これらの法律は、設置をすることが義務付けられているようなものなので、経営者や事業者の義務として設置や定期清掃の実施をお願いします。
建設基準法 |
● 建築基準法施行令第129条 「建築物に設ける排水のための配管設備の設置及び構造は、(中略)安全上及び衛生上支障のないものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものであること」 ● 建設省告示第1597号 「汚水が油脂、ガソリン、土砂その他排水のための配管設備の機能を著しく妨げ、又は排水のための配管設備を損傷するおそれがある物を含む場合においては、有効な位置に阻集器を設けること。」と定められています。 |
下水道法 |
飲食店から出る排水の水質基準が具体的に記載しています。 下水道法では、「水素イオン濃度、BOD(生物化学的酸素要求量)、ノルマルヘキサン抽出物質(動植物油脂含有量)といった項目で基準を設けています。水素イオン濃度が5~9pH、BOD(生物化学的酸素要求量)1リットルあたり600mg未満、ノルマルヘキサン抽出物質(動植物油脂含有量)1リットルあたり30mg未満」が基準となります。 ※排水基準を満たしていない場合、下水道法第38条第1号第1項に基づき、水質改善命令、公共下水道へ水を流す事を一時停止するよう命令される場合があります。 |
水質汚濁防止法 |
水質汚濁防止法は、法律が適用されるかどうかが店舗の規模で決まっており、グリーストラップが必要な飲食店の規模は床面積420㎡以上と定められています。 ※法律で記載している基準に該当しない飲食店であっても、地方自治体で定めている基準に反する可能性があるので注意と確認が必要です。 |
各市町村において、具体的に設置に関する条例を制定している場合があります。
地域によって設置を義務化しているケースもあるため、詳しい条例については各市町村の担当窓口、または弊社までお問い合わせください。
グリーストラップの定期的な清掃の必要性を十分にご理解いただけたかと思います。
「さぁ、清掃するぞ!」と意気込んだまではいいですが…
実際清掃するとなると「バスケット内の生ゴミの処分」「トラップ内洗浄」「排水管の洗浄」など工程が多く、店舗・施設内での清掃が追いつかないこともあります。
また、大変な作業となるため清掃するスタッフの負担は計り知れません。
産業廃棄物の処理も必要となるため、定期清掃はプロの産業廃棄物処理業者に委託しましょう!
※「油脂除去」「沈殿物除去」は産業廃棄物となるため、許可業者しか処分できません。
定期清掃をプロに任せるメリットをご紹介します!
業務中での清掃作業は時間と労力がかかります。
また、知識がない中での作業はグリーストラップの機能を低下させる恐れもあるため、清掃のプロに任せた方が安心です。
バスケット内の目詰まり、隅のカス汚れ、ヌメリけのある沈殿物除去、業者にしかできない排水管内の清掃まで行い、落としきれない汚れを隅々までキレイにします。
汚泥と廃油は産業廃棄物のため、一般廃棄物として捨てるのは違法になります。
店舗・施設によってグリーストラップの大きさ、排水状況、汚泥の質と種類も異なるため、現場確認をしっかり行った上で、排水基準を満たすための清掃回数のご提案を致します。
グリーストラップ内の廃棄物は、産業廃棄物となるため産業廃棄物処理業者に委託して処理する必要があります。
清掃を委託する際は、必ず対応エリアの許可登録があるかを専門業者に確認しましょう!
清掃時に汚泥と油脂(ラード)を吸い上げる必要があるため、吸引車を使用します。
また、グリーストラップ内の汚泥や頑固な汚れを除去するため高圧洗浄車と吸引車で洗浄します。
作業時には、近隣や衛生面への配慮、安全対策を行ったうえで作業を実施しています。
産業廃棄物の処理、清掃に関しては「廃棄物処理法」に則り、排出事業者(お客様)と契約書を交わす必要があります。
また、排出事業者は産業廃棄物をマニフェストにて管理しないといけないため、マニフェストの発行を処理業者(委託業者)に発行してもらう必要があります。
委託に伴う契約書とマニフェスト発行についてご説明します。
1.委託契約書 |
排出事業者は、運搬・処分業者に委託を依頼する場合は、事前に書面にて「委託契約書」を取り交わす必要があります。 産業廃棄物収集運搬委託契約書、産業廃棄物処理委託契約書の2つの委託契約書を取り交わします。 |
2.マニフェストの発行 |
排出事業者側で、産業廃棄物を処分業者に引き渡す際に、マニフェストを交付します。 排出事業者は、廃棄物を厳正に管理しなければいけません。 また、処分業者に委託後も最終処分が完了するまで排出事業者としての責任が問われます。 |
弊社では、しっかりと必要な契約書・マニフェストの発行を排出事業者様と取り交わします。
また、都道府県への状況報告等のサポートもさせていただきますので、新規事業を立ち上げらてたばかりの経営者様でも安心してご相談ください。
グリーストラップ定期清掃の他にもグリーストラップの点検やその周辺の排水管メンテナンスも大切です。
部品の破損を劣化したまま使っていては、本来の機能が低下してしまい、汚泥・油脂が分離されずにそのまま排水されてしまい、環境汚染に影響してしまいます。
特に食品加工業、学校給食、商業の飲食施設などの場合、複数箇所にグリストラップが設置されていたり、広い範囲で排水管の状況を確認する必要があります。
弊社は、広範囲でも清掃から補修工事、詰まり除去まで施設全体のフルメンテナンスが可能です。
一括管理、部分管理などお客様の要望に合わせてご提案致しますので、お気軽にご相談下さい。
【グリーストラップのメンテナンス目安】
※質問をクリックすると、回答が表示されます。
A.調理をする業種であり業務用の厨房がある飲食店や食品加工を行う施設は設置が必要です。
●飲食店全般(居酒屋、ラーメン店、焼肉店、中華料理店、ファミリーレストラン、ファーストフード店、カフェなど)
●スーパーマーケット(お惣菜など調理をする厨房がある場合)
●コンビニ(お惣菜、揚げ物を調理する施設がある場合)
●病院、老人ホーム、社会福祉施設(病院食など食事を作る厨房がある場合)
●給食センター
●お弁当屋
●食品加工業 など
A.業種や営業状況、排水状況、作業環境、汚泥の質や種類によって回数は異なります。
適切な清掃回数は現場状況を確認してご提案させていただきます。
特に清掃回数が多いのは飲食店(居酒屋・ラーメン店、焼肉店など)。
揚げ物や肉類などを提供する業種は汚泥・廃油の量も多いので清掃回数(年10回以上)が多くなります。
また、ラーメン屋、焼き肉店、中華料理店は油脂を多く含む排水となるため、寒くなってくると詰まりやすくなります。
飲食店(ファミリーレストラン)や食品スーパーは年4~6回程度。
老人ホームや病院は、年6回程度
※あくまでも目安ですのでご参考まで。
A.同じ業種でも、グリーストラップの容量、作業環境(設置位置など)、回数により価格は変動します。
スポット清掃より定期清掃費用の方が料金がお安くなる場合がありますので、定期清掃での契約をお勧めしています。
自然環境への配慮、お客様の信頼や企業イメージに直結する「グリーストラップ」の維持管理。
これから飲食店を開業しようとお考えのオーナー様、すでに飲食店経営されているオーナー様、厨房施設の責任者様は、「グリーストラップの設置と定期清掃」の必要性をご理解いただけたかと思います。
最後にお伝えしますが、経営者、事業者の「義務と責任」を守り、定期的な清掃と設備の保守管理をお願い致します。また、排出事業者様の責任を果たせるように法律・契約書・マニフェストなど専門的な部分まで東産業がアドバイスやサポートさせていただきますのでお気軽にご相談下さい。
東産業では、貯水槽の維持管理(清掃・点検)業務も行っています。
生活や料理に使う水の衛生管理も同時に行い、安心・安全な水をお客様に提供しましょう!
「貯水槽維持管理」については、下記コラムからご覧いただけます。
お客様の事業形態によって提案できるプランはさまざま。
現状をしっかりと見極め、最適なプランをご提案できるようにしっかりとヒアリングを実施したうえで、計画から運用まで一生涯のサポートをさせていただきます。
まずは気軽にお問い合わせください。
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