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コイを死なせずに池の清掃を行うには?~独自の環境アセスメントと生きものに配慮した工法で実現~

サステナビリティ 2021.12.08

目次

 

コイが棲む池のメンテナンスをしていますか?

コイを飼っている景観池や調整池はなぜメンテナンスが必要なのでしょうか。

他所から流入する水が少ない閉鎖的な池は、富栄養化による水の変色や有機物の堆積が進みやすい環境です。
富栄養化した池は、見た目の美しさが失われるばかりではなく、池の中で暮らしている生きものにとっても大変厳しい環境となっています。
さらに、落ち葉の流入など堆積物が池底に侵入すると富栄養化がますます促進されます。長期間放っておくと堆積した有機物がヘドロ化し、悪臭などを発生させ、水中の酸素の低下などにより、生きものの数が減ってしまう場合もあります。

景観池や調整池は定期的に清掃することをご提案いたします。

コイの池を清掃する上でのリスク

それでは、コイなどの生きものを保全しながら池の清掃を行うには、どのような点に注意すれば良いのでしょう?
コイの池を清掃する上で、どのようなリスクが考えられるか、具体的にリストにまとめました。

  • コイがいると池を清掃する工事に支障を及ぼす。工事しにくい。
  • 水を抜く際に外来生物も一緒に放流してしまい、下流の自然環境に影響を及ぼす可能性がある。
  • 水を抜くことでコイや池に生息する在来生物を弱らせてしまう。
  • 水抜きのポンプに生きものが詰まってしまう。
  • 清掃中にコイを別の場所で保全しないといけない。
  • 保全中にコイが弱ったり傷つく可能性がある(水槽から飛び出したり、水温上昇など)。
  • 水を戻した際に水質が変化して生きものが弱ってしまう。

池の清掃フロー

上記のリスクを予防するために、弊社では次のようなフローで池の清掃を実施しています。
※クリックすると詳細をご覧いただけます。

①現場調査

池の中の生きものを事前に把握する。
調整池など下流の河川とつながっている場所は、下流から生きものが調整池に遡上してきていることがある。
事前調査の結果から生きものの捕獲、保全方法を決める。

②東産業型環境アセスメント

東産業では、環境影響評価法に準じる弊社独自の環境アセスメント制度を運用しています。
工事における環境影響の評価を実施。

③環境配慮方針の作成・共有

どのような生きものが生息し、どのような配慮が必要なのか文章と写真で記入。
工事部門に環境配慮の方針を共有するとともに、どのような手立てで魚を保全するかCSR担当者が現場代理人と打合せ実施。

④池の水を抜く

生きものが巻き込まれないようにポンプの吸込口や放流先をネットで覆う。
調整池内にウシガエルやアメリカザリガニなどの外来種が生息していた場合は、外来生物流出防止装置を設置。

⑤コイやその他の生きものを捕獲

傷が付いて弱ってしまわないように、水位が低くなったらタモ網を使って捕獲。

⑥生きものの分類と保全

在来生物はコイと共に保全、外来生物は駆除。
保全中は水温変化に留意し、水槽から飛び出していないか定期的にチェック。

⑦清掃・天日干し

池底の堆積物を吸い出し、コンクリートであれば壁面を高圧洗浄でキレイに洗い流す。
場合によっては天日干しを行い、ヘドロを分解する。

⑧放流

再び池の水が溜まったらコイと在来生物を放流。

⑨施工後の確認

工事による影響の確認。
放流後の水質変化によって生物が弱ることがないようチェック。
必要に応じて、自然環境調査を実施。

工事期間の目安

池の大きさや流入してくる水量(雨天時は順延もあり)によって前後しますが、工事期間の目安を以下にまとめました。

池の大きさ工事期間
景観池(50㎡程度、正面玄関等にある池)1日~2日程度
調整池(100㎡以上、雨水の貯留・調整目的で設置された
    完全コンクリート型の池)
2日~1カ月程度
※規模によって期間は異なりますのでお問い合わせください。

事例紹介 工場にあるコイの池清掃

では実際にどのようにしてコイの池を清掃するのか、三重県内のお客様を事例にご紹介します。
A社さんは工場内に調整池があり、コイを飼っています。
定期的に池の清掃を実施していますが「自社ではコイの保全ができない。」とのことで弊社にご相談いただきました。

お客様のご要望

  • 調整池にコイが泳いでいる。工事の障害である。
  • 地域の河川とつながっている場所のため、魚の保全等を考えた場合に最小の影響にとどめたい。
  • 現場調査により在来種も多く存在していると判明。ポンプへの吸い込み、つまりなど効率的な施工の観点からもある程度魚を取り除きたい。

工事のポイント

工事前にアセスメントを実施
工事前にアセスメントを実施

下流の河川とのつながりが確認でき、実際にヨシノボリやモクズガニが生息していることが分かりました。
お客様の事業所は、鈴鹿川水系の上流部に位置しています。
モクズガニは、鈴鹿川河口で産卵するため、河口から調整池までの約15km(直線距離)を旅してきたことになります。

在来種への配慮
在来種への配慮

調整池内に周辺の河川でみられる魚種(アブラハヤ、タモロコ、ヨシノボリ)を多数確認しました。希少種ではないですが、工事による在来種への影響を最小限に留めたいと判断しました。
堆積した土砂や落葉を清掃する前に大型の魚の捕獲を試みましたが、どうしても落葉の裏に潜む小魚は網でとり切れませんでした。

そこで、清掃作業と同時並行で救出できる魚は捕獲し、保全しました。
保全の際は、生いきものの表面についた泥はよく洗い落してから保全水槽にいれるようにしています。理由は、エラに泥が付着していると呼吸ができず体力を消耗してしまうからです。
ただでさえ工事の影響による水の濁りや捕獲時のショックで生きものは弱っていますので、作業は慎重かつ丁寧に、迅速に進めていきます。

工事フロー

こうしたポイントを押さえつつ、コイや在来種に配慮した施工を計画し、実施しました。
簡単なフローでご紹介します。

まとめ

今回はコイを死なせずに池の清掃を行う方法をご紹介しました。

・コイがいると池を清掃する工事に支障を及ぼす。水抜きポンプに詰まってしまう。
・水を抜く際に外来生物も一緒に放流してしまい、下流の自然環境に影響を及ぼす可能性がある。
・水を抜くことでコイや池に生息する在来生物を弱らせてしまう。

こういったリスクに配慮して弊社では下記フローで環境配慮工事を行っています。

工事フロー
・現場調査
・環境配慮方針の作成・共有
・池の水を抜く
・コイやその他の生きものを捕獲
・生きものの分類と保全
・清掃・天日干し
・放流
・施工後の確認

工事の流れの中でも特にこだわっているのが以下の2点です。

弊社の環境配慮工事ポイント
1.工事前にアセスメントを実施
2.在来種への配慮

コイを死なせずに池の清掃を行うために、弊社独自の環境アセスメントを実施し、工事が与える環境への影響を事前に調査しています。
また、調査を元に生きものに配慮した工事方法を検討し、できる限り在来種や周りの自然環境に影響を与えないよう配慮しています。

環境配慮工事の実績があります。

他にも車部品製造工場様にて環境に配慮した「景観池の清掃」を実施させていただいた実績があります。
詳しくはコラム「今ある池をCSR活動に活用する~水質改善と生物多様性向上~」へ

上記に限らず、貴社のCSR活動をバックアップさせていただくことも可能です。
詳しくはコラム「他社CSR活動支援とは?」へ。

東産業では「自然環境との共生・共存」を企業としてどう取り組むべきかを一緒に考え、弊社のこれまで培ってきた経験・知識をもとに多角的観点でご提案させていただきます。
その他の取り組みについてはサステナビリティ基本方針をご覧ください。

東産業が貴社のCSR活動をお手伝いします。

まずは気軽にお問い合わせください。

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